どうも皆さんこんにちわ。如何お過ごしでしょうか。
2006年、
VolitionとTHQの手によって、
事の始めこそGTAの後追い、パチモン風情として世に登場するも、
その後、数多くのオープンワールドゲームの中でも一目置かれる存在としてシリーズを重ね、
最終的には紆余曲折あって無限の宇宙へと旅立っていってしまった不朽の名作、「セインツロウ(Saints Row)」。
今回出たのはそのリブート版。
なんだかんだのすったもんだの末もう戻ってこないだろうと半ば諦めていたものが
ナンバリングを排して設定も新たに作られるというニュースを聴いた時は盛り上がった物ですが、
そこから延期を経て、かなり待たされてからのやっとの発売。
ほんと大分待たされましたね。
早速プレイしてメインのストーリーだけはクリアして今これを書いていますが、
正直言って旧シリーズの初めからずっとリアルタイムで付き合ってきた身としては、
今回のリブート(以下、新セインツ)は、言わば
生きてるだけでも偉い状態とも言える訳で、
かなりハードルは低い状態で始めました。最低限懐かしく楽しめればいいやと。
結果的には懐かしく遊べましたし、
それなりに楽しめもしました。
ただ、それだけの低いハードルでも精一杯なレベルの出来だったのは問題でしたが・・・

今回の新セインツ、
軽く説明すると基本的には旧シリーズと殆ど変わりません。
リアリティラインとか全体的なノリとかに関しては、旧セインツ2と3の間位って感じでしょうか。
初期のストリートギャング成り上がりワナビーなテイストと、
後期のやけくそやりすぎアホバカゲーな雰囲気の丁度良い中間、良いとこどりのバランスと言いますか。
塩梅としては悪くないんじゃないかと思います。
問題は雰囲気だけじゃなく、技術力とかボリュームとかシステムとか、
そういったゲームの骨子の部分も旧作の時代から何も変化が感じられない所です。
良く言えばあの頃の懐かしみ、
悪く言えば一世代二世代も前のオープンワールドと大差無い、むしろ単純比較で負けてます。
360やPS4、セインツシリーズがまだブイブイ言わせてた、
どこを向いてもGTAフォロワーなオープンワールドジャンルが溢れかえっていたあの頃。
本家含めたあの当時のゲームと純粋なデータとかを比べてみたら、多分殆どの項目で負けてるんじゃないでしょうか。
服飾の数、武器の数、仲間の数、敵組織の数、カスタムの数、マップの広さ、施設やアクティビティの数、諸々・・・
普通に昔のやつよりも単純比較して少ない。
頑張って水増そうとしているのも分かるのですが、
いかんともしがたい予算規模の少なさが透けて見える程度には、
現代基準は勿論のこと昔の作品と比べてもこじんまりとしてしまっています。
作りもノリも志的にも全て昔のオープンワールドと変わってないのに昔の作品に負けている・・・なんとも悲しいですね。
しかし昔の作品には無かった点として、アクセシビリティの充実があります。
各種機能の調整、個々のプレイヤーの身体に合わせたオプションがあるのは実に素晴らしいです。
ですが、詳細な難易度の調整の項目に関しては、思う所が無きにしも非ずです。
アクションゲームなら一つの難易度で勝負せんかい!というのも勿論あるのですが、
本作に関してはそういうの以前に、
難易度調整の項目が充実してる上で難易度調整が甘いと言うのがなんかモヤモヤします。
今回難易度ノーマルで始めたのですが、敵が結構硬すぎな気がするんですよね。
中盤以降辺りからはしょっちゅう弾切れする位で、
ゲージ制のスキルを使っても碌に減らない。
テイクダウンはアーマーを削らないと使えない。
六発装填のマグナムリボルバーでヘッドショット三発当てても死なない時があったりして正気か?っていう。
終いには弾を弾く奴は居るし、近接攻撃すると何故か避けまくるしで全体的な戦闘のテンポが悪い。
私の戦い方や進め方がまずかったせいと言う部分もあるかもなのですが、
爽快でバカらしいシリーズのノリが生かせる様なバランスになっているとはあんまり思えませんでした。
お金を集めて銃のパワーアップを早くから買っておくか、
充実の難易度オプションで拾える弾の数を最大まで増やしたり、敵の数や硬さを減らしたりした方が良いでしょう。
そこは
プレイヤーに調整させる前に最初からある程度はやっといてほしいもんだけどな!まあ、言うて何度かやられた時には勝手に忖度してくれる今時難易度ではあるので何でもいいだろとも言えますが、
昔の作品の殆どはこっちで弄らなくてもそれなりにしっくりくる様に調整してあったよねと考えると・・・これも悲しくなるとこではあります。
ストーリーや三人の仲間については決して悪くはないとは思いました。
やや古臭いと言うかどこかで見たと言うか王道と言うか、シリーズらしさに忠実で或る意味そつがない。
新時代的なモノを感じさせる部分は無いですが、
「セインツってこういうものだよね」という雰囲気は大体掴めています。
しかし、セインツ4から十年近く経っていると言うのに、
大体こうと言うのをなぞるだけでいいのか?後追いする以上の物が無くてリブートとしてどうなのか?
みたいな意見は当然受けるべきでしょう。それ位はあってもいい筈。
かなり今回やってて懐かしさとか、初期はこういう感じだったよな~みたいなのを頻繁に感じられて、
それは旧作を良く再現出来てると言えると同時に、
そんな昔の時代のゲームの出来を正に”後追い”で満足してていいのかと。
過去作をトレースすると同時に新しい風を呼び込む事こそリブートの真意だし皆それ位は期待してたろうと思うのですが、
ばっちり過去作と大差無い(寧ろさっき言った様なとこでは及んでいない)。
生きてるだけでもうけもん、生きてるだけで偉い、と
言うのも確かに状況としてはそう。そうなんですが、もっと頑張れば何かできた筈。
小さくとも新たに何かを成したという結果を残す様な内容には出来た筈なんです。
しかし今作には悲しいかな、かつてのセインツ好きに対してかつてのセインツの雰囲気をもう一回楽しめて良かったね、
懐かしい一時を文字通りこの一作の間だけまた再訪出来て懐かしかったねと言う、
それだけの出来になってると言えるのでしょう。
少なくともここから新シリーズが新たな時代向けとして何作も続いてくビジョンは見えない。
まだ4のラストからの続きの方が将来性ある様に思えます。
・・・・・・いやそれは流石に無いか。
それ以外にもまあ今回はバグが無駄に多い(多分数少ない過去シリーズよりも多い物)だとか、
ローカライズがかなり安っぽくて最低品質だとか、
色々とマイナスな点があって評価もそれなりに低くなっているのですが、
やる前は過去作ファンとして最低限再び楽しめる位で良い、
生きてるだけでも良い事だ。とか思ってあまり期待せずに始めてみたら、
流石にここまで可も不可もないとは。
正直困惑すると言えます。
可も不可もなく十年以上前のオープンワールドとどっこいどっこいのクオリティで、
そつなく特筆すべきとこもこれといって無く、
ここまで過去作の水準に留まった様な物なのだったら、
それってリブートとしての価値あるの?と、存在意義までをも疑わざるを得ない。
・・・でもそうは言っても別に嫌いとかこれじゃ遊べないとかそういう意識はやってて別に無いのですよ。
でもそれが問題で、
なんだかんだ言ってそれなりに楽しめる。それなりに遊べている。それなりにセインツぽい。・・・じゃダメでしょ。
幾らなんでも単にそのまま生き返らせただけじゃ未来が無さ過ぎる。
一回生き返らせてそんなの間違いだったとそのまま死んでいくとか古典ホラーかよ。
少しでも新しい、次に活かせる事をしてこそのリブートでしょう。
本作には
徹頭徹尾最初から最後まで、それなりに過去のセインツをもう一回やってみた感たっぷりです。
これを偉いと言えるかどうか・・・凄く試されている気持ちになります。
しかし、仮にこれで終わりでも、
過去作プレイヤー新セインツプレイヤー含めてきっと誰も悲しまないでしょう。
既に死んでいたんだし。
死体ををそのまま復活させたとこで生命活動を続けさせるのが不可能なのは自明です。
生き続けてこそのシリーズ。
生き続けるには成長、つまり変化は必須です。
旧セインツシリーズはその点間違い無く生命活動を続け、その中で変化し続け、老衰し死を迎えたと言えますが、
そこからどう変化するのかを全く考えず、とりあえずでそれなりに死ぬ前へと戻ったリブートが、
先人と違う歴史を辿るとはとても思えません。良くても同じ、或いはそれ以下でしょう。
舞台設定的に「マチェーテ2」とか「デスペラード2」とかあんな感じの物を見せてくれたりするのかなとか発売前は色々予想していたのですが、
そういう驚きみたいなのも特には無く、ただただそこそこにセインツの後追いでした。
ギターロケットとマチェーテは武器でありましたけど、それくらい。
あっとおどろくセンスとか今までこういうのは無かったなみたいな新鮮な驚きとかはほぼ皆無。
本当に旧セインツが旧時代のまま生きてるだけ。生命維持してる以上の物は皆無です。
バグを直さないと生命維持装置もその内止まるかも知れない。
リブートの無駄使いだし、The Black Angelsの無駄使い。
それ位は言っといた方が良いし妥当な意見でしょう。
ほんと気持ち的には別にやってて不満はそんな無いんですよ。バグ以外は。
だってそれなりにセインツだから。新セインツなのに旧セインツと比べ、だいたいこんな感じで大きく可もなく不可もなくなんですよ。
これを良しとしてしまうのは、心情的にはあってもいいかもだけど決して本人の為にはならないでしょう。
セインツ初代辺りのリアリティラインで程良くシリアス寄りにしたりだとか、
或いは逆に徹底してメタにメタを重ねて旧作を再考するパロディにするとか、
そういうアプローチの可能性も様々有ったろうとは思うんですけどね・・・
そんなかんじで。