先日からダウンロードのゲームをいくつか見繕ってやっているのですが、
お次は
「リトルナイトメア」をささっとクリアしました。
本作の製作は「リトルビッグプラネット」の Tarsier Studios、
パブリッシャーはバンダイナムコ、
となっております。
バンナムのローカライズは自分のやる中では割と珍しめな気がしますね。

日本語公式
http://ln.bn-ent.net/
「リトルナイトメア」がどんなゲームかと軽く説明しますと、
基本的には横からの視点ながら、多少の奥行きのある3Dアクションゲームと言えるでしょう。
それだけだと普通ですが、
実際は雰囲気のあるグラフィックと、
怖い童話とか怖い児童書、または欧州の怖いアニメなんかを思わせるような、陰のある独特な世界観やキャラ造形で彩られた、
簡単に言えば「LIMBO」「Inside」系の、リスペクト溢れたゲーム、といった感じですかね。
その二作はまごうことなき名作で、リスペクトも多いゲームと言えますが、
本作も実際かなりそれらと近いコンセプトのゲームなのは間違いなく、
子供らしき主人公を操り、一見死溢れるデストラップパズルを横視点で進んで行き、
敵キャラからなんとか逃げたり隠れたりしつつ、リトライしながらゴールを目指す、という、
パズル要素は簡単な物が多いですが、ほぼ一緒ですね。
だからこそ、違いが目立つのも道理というもので、
個人的に先の二作とはつい見比べてしまうのですが、
そうすると、どうしても先人に比べて至らないと思ってしまうところが若干ながら見受けられます。
例えば本作では、
視点は大概横から覗く形で固定ながら、奥や手前への移動はほぼ自由になってますが、
「Inside」では基本的には2Dを踏襲しつつ、奥行きに関しては自然に3Dの移動を抑制しているんですよね。
一本橋なんかで顕著ですが、「Inside」ではそういう場所での奥行き操作は効かず、2Dアクションの操作感になってるんですよね。
これがまたプレイ中は気付かない位に自然に、場面場面で考え抜かれた繊細な配慮がなされていて、
ここは変に奥や手前にゆらゆら動かせても何の得も無いなってとこでは、
こっちが気を付けなくてもいいように2Dゲー的な動かし易さにしておいてくれてる。
そして奥行きを使う移動の時には、自然と奥に手前に移動したりする。
これがゲーム中の誘導やスムースな移動なんかにも繋がってて、
やっててとても分り易く快適なデザインになっていると言えます。
一方本作では、そういうとこでも3Dの奥行き操作は幾らでも効くままになってるので、
ちょっとスティックの力の入れ具合が上下にずれただけで無駄に落下死してしまったりする。
そんな一本橋とかの上で普通誰も奥や手前に操作して落ちようなんて思わないですよね?
10人中10人がまっすぐ落ちずに渡ろうとしてる筈です。
しかし、3Dの自由な操作であれば、全く意図せずに落ちてしまうという事故が起こる。当然それがプレイヤーのミスになってしまう。
これは誰も得しない事です。そんなとこで難易度上げてもしょうがないなってとこですしね。
「Inside」ではそういうとこでも2Dな操作感で進めると。
それと、「LIMBO」では容赦の無い初見殺しや難しいデストラップやなんかでの連続死に誰もが悩まされたと思うのですが、
リトライの素早さとチェックポイントが大体すぐ目前からだったお陰で、驚くほど煩わしさを感じさせませんでした。
一方で本作のリトライは、数秒の差ですが「LIMBO」よりも時間が掛かります。
そしてチェックポイントも一死に場所毎では無く、場所によっては若干手前に戻されたりします。
先の一本橋での例えの様な、こっちのせいじゃないぞ!というミスなんかの場合ですと、
これが併せ技となって、「LIMBO」や「Inside」ではこうはならなかったなぁとか、
もっとストレス無くやれたのになぁ なんて思ってしまったりする。
勿論、このゲームのリトライだって十分に短い物ですし、
アクションや操作だってそこまでフラストレーションのある様な類じゃありません。
しかし、「LIMBO」「Inside」と比べてしまった場合、それらよりも至らない。
それらの雰囲気や視点、世界観やアクションの方向性なんかが似通っているからこそ比べてしまうのであって、
無闇に比較される様な内容でなければそんな感想にはならなかったでしょうし、
また、それら二作よりも巧みにやっていた場合にも、そういった不満感は起こらなかった事でしょう。
しかし、そういった無理やりに比較してどうこうという視点を持たなければ、
本作は実に手堅く、この手の作品の中でもリッチで雰囲気に満ちた作品として、高いクオリティを発揮していると言えます。
グラフィックも勿論良いですが、
敵の不気味なキャラクターや、小汚い部屋の質感や、陰鬱とした暗いトーンのデザインも終始素晴らしいですし、
単によくあるホラーをなぞる様な感じにせず、
前述の童話や絵本にも通じる印象であったり、
後半のアジア風味のあるステージであったり、(多分ですけど「千と千尋」インスパイアかな?)
この作品独特なアートが随所で光ってると思います。
特に敵となる人物は印象深く、主人公に対しての大きさも含め、存在感あるキャラになっています。
アクションはLIMBO系と言うには意外にしっかりとしているとこがあり、
主人公のアスレチック能力は結構高め。
矢鱈と高いとこ(普通の人間にはそうでもないんですけどね)によじ登ったり、大ジャンプしたりと、
やってるとだんだん主人公がアサシンなんじゃないかという気がしてきます。
盲目の敵からステルスぎみに避けたり、
大量に押し寄せる人間からディザスターぎみに逃げたりと、
AAA級等のアクションゲーを思わせる様な、充実した3Dアクション性の高い動きを、
そこまで小難しくせず、簡単サクサクで繰り出せるというのは、
或る意味さっきの二作では出来ない点であり、この作品の貴重な個性であり、長所と言えるでしょう。
雰囲気ゲーとしては、既存のアクションゲーぽい印象になっちゃうとこもなくないとも言えますが、
その分のやりがいもあって、アクションとしては十分なんじゃないかと思います。
そのアクションの充実のせいなのか、
割とステージ数自体は控えめな筈なんですが、あまりゲームが短いと言う印象は受けませんでした。
慣れてしまえば、より華麗に素早く攻略したりするプレイなんかも出来たりするんじゃないかと思います。
陰鬱でダークな世界を右へと彷徨う、「LIMBO」「Inside」に代表される横スクロール雰囲気ゲーに、
リッチなグラフィックと音楽、
たくさんの物理演算小物とそれを使った遊び、
キモいオッサンの大群、
そしてアサシンばりのアクションの片鱗を少し混ぜた本作。
グラフィック面に対しての興味だけでも十分応える物があるとは思いますが、
この手のジャンルのゲームが好きという方や、
ちょっとしたアクション作品がやりたいというだけでもお勧め出来るかと思います。
・・・ところで、
こういう話の締めの時にまず別エンドを疑っちゃうってのはあまりよくない事とは思いつつ、
これって、何かすると別ルートとかあるんですかねぇ・・・・・・?
いや、まあ別に無くてもいいっちゃいいんですけど。
そういう話もそれはそれでいいですよ、ええ。
そんな感じで。